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在留特別許可判例紹介コラム(東京地裁平成16年9月17日)

皆さんこんにちは。
このコラムでは、在留特別許可に関する判例をご紹介しています。
本日ご紹介する判例は、オーバーステイで収容されて退去強制手続が開始された中国人女性について、収容の半年以上前から日本人男性と結婚の約束をし、入籍はしていないものの収容2か月前から半ば同居の状態だったにもかかわらず、即座に在留特別許可を認めないとした東京入国管理局長の判断に裁量権の逸脱又は濫用があったとして、中国人原告の訴えを認容した事例です。

事案の概要

中国人女性の原告Aは留学ビザで入国した後に中国人と結婚して家族滞在ビザに変更し、その後離婚して就労ビザに変更を試みたものの不許可となった。そして、不許可の通知を受けた日に、退去強制事由に該当するとして東京入国管理局収容場にそのまま収容された。原告Aは、収容の半年以上前から日本人男性Bと結婚の約束をし、入籍はしていないものの収容2か月前から半ば同居の状態であった。それにも関わらず、東京入国管理局長より即座に在留特別許可を認めない判断がなされたことに対し、裁量権の逸脱又は濫用があったとして、中国人原告が本件裁決と本件退去強制令書発付処分の取り消しを求める事案。

主な争点

原告に対して、特別に在留を許可すべき事情があるとは認められないとした判断が裁量権を逸脱した違法なものかどうか

コメント

まず、在留特別許可を認めるかどうかについての法務大臣の判断が違法とされるのは、その判断が「全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど、裁量権の範囲の逸脱又は濫用がある場合に限られる」ということが前提になります。

原告Aについては、

  • ① 専門学校を卒業した後、資格外活動許可を得ずに複数の旅行会社で長時間勤務して入管法違反をくり返したことは見逃すことはできないが、隠れて就労だけ行っていたわけではなく、他の点では真面目に生活していて本人も反省していることから、入管法に違反して就労をくり返していた点だけを重視するべきではないこと
  • ② 日本や中国で刑事事件を起こしたことはなく、日本に適法に入国して3年以上の間まじめに就学していたこと
  • ③ 9年間の日本滞在のうちオーバーステイで収容されるまでは2か月未満であり、かつ原告Aは収容された日まで自分がオーバーステイしていると気づいていなかったこと
  • ④ 9年間という長期間を日本で過ごし、日本語もたん能で、真面目であり周囲からの評判も良いこと
  • ⑤ 収容の半年以上前から日本人男性Bと結婚の約束をし、入籍はしていないものの収容2か月前から半ば同居の状態であり、近く入籍することを決めて手続を開始していたことが認められることから、原告AとBとの関係は極めて濃密で、結婚して通常の夫婦生活をおくる可能性が極めて高かったと推測できること
  • ⑥ 原告Aが中国に強制送還されれば、婚姻したBと同居して生活することが困難となるため、在留特別許可を与えるかどうかは慎重に判断すべきこと

が考えられます。

それにも関わらず、東京入国管理局長は、収容前に原告AとBとが同居の状態になく、結婚の可能性も不明という前提で、口頭審理のわずか2日後に異議に理由はないとの本件裁決をしています。しかし、この本件裁決当時、東京入国管理局長が原告AとBとの結婚の可能性や夫婦関係の安定性などを適正に評価していれば、東京入国管理局長は原告Aに在留特別許可を認めていた可能性が高いと考えられます。
したがって、原告Aに在留特別許可を認めなかった裁決は、「全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど、裁量権の範囲の逸脱又は濫用がある場合」に該当するとして、本件裁決と本件退去強制令書発付処分を取り消して原告Aの訴えを認めました。
在留特別許可が認められる一つの典型例が日本人の配偶者がいる場合ですが、今回のケースでは、収容当時はまだ入籍しておらず半ば同居していた状態にとどまる、いわば日本人の配偶者に準じた関係にある場合です。
この判例は、日本人と法的に婚姻が成立している場合のみではなく、それに準じた関係である場合でも、それを重視することなく異議の申出に理由がない旨の裁決をし、退去強制令書を発付したことに対して、東京入国管理局長の判断がその裁量権の範囲を逸脱または濫用したものとされ、本件裁決が違法として全部取り消された点が特徴的です。

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